栃木の建築家NASU CLUBが手がける住まいは、何気ない日常の風景をふとした瞬間に美しく感じられる住まい設計が魅力です。「特別ではないからこそ、大切なのかもしれません。何気ない日常だからこそ、心にしみ込んで行くのかも知れません。」そう語る建築家の手がける優しい住まいの在り方をご紹介していきます。
こちらは「Horizon House Ⅱ 海にくらす_。」と名付けられた住まいの外観です。本当は穏やかな気持で過ごしたい日常だからこそ、どこでどの様に暮らすかという選択は人生にとって大切なのではないでしょうか。そんな想いで建築家と施主がつくりあげた住まいは、夫婦共に多忙な施主が幸運にも手に入れることの出来た美しい海景を暮らしに取り入れ、水平線に沈む夕日と共に一日の終わりを感じることのできる家です。高台立地を上手く活かすステップハウス、周囲の豊かな木々を窓からの眺めに取り入れた和室など、心地よく自然を感じられる配慮が多くされています。
「日々の生活の中で起こる小さな事を一つ一つ気に留めながら生きる事。それが人生で一番大切な事だから。」ある映画監督が自身の作品で最も伝えたかった事について聞かれた時の言葉を引用し、住まいの在り方を語るNASU CLUB。その言葉に相応しく、何気なく飾られた花に自然に目が留まる空間づくりが魅力です。シンプルでナチュラルな空間設計の中にも、窓から差込む光や流れる風を意識した緻密な設計は、まるで映画のワンシーンの様に心に残る情景をつくりだします。
こちらは「森の生活。」と名付けられた住まい。森の生活という名前に相応しく、無垢材のテクスチャーが美しい床が目を惹きます。大きな開口部から豊かな自然を眺められるリビングには薪ストーブが設置され暖かく家族を迎えます。片流れ屋根の下に設けられたロフト空間には小さな寝室が設置され、明かり取り窓から朝日が優しく注ぎ込みます。「日常の混沌から離れ、自然の中に身を置きながら最小限の生活の中で思索に耽れば、人生を豊かにする大切な何かを見つけられるかもしれません」と建築家は語ります。
「住まいも家族と同じく、愛情を以って接すれば単なる建築物から命を吹き込まれた存在となり、かけがえのない時間や思い出をもたらしてくれるというこの考えに共感する人は少なくないのではないでしょうか。」そう語る建築家NASU CLUBは、人が家に順応するのではなく家が人に順応するのであるというユニークな発想で住まいづくりを考えます。造作テーブルの上に広げられた文房具やノート、飾られた小さなオブジェや植物等、家族の好きなモノやライフスタイルが自然に家に馴染み、時間と共に家そのものにその家族らしさが生まれる優しい家づくりが魅力です。